インタビュー

【岡部館長が、聞く】
みどりピアノ・アンバサダー2025-2026 岩田 紗奈さん

*2025年6月みどりアートパークにて

緑区とのご縁というと、2022年の緑区民音楽祭新人演奏会オーディションで最優秀賞を取られたのが始まりになりますが、参加されたきっかけは?

たまたまネットで見つけて、オーディションとかコンクールで終わらず、新人演奏会という副賞がついていて魅力的に感じて参加しました。

-そこで最優秀でしたね。

本当に取れると思っていなかったのでとてもうれしかったです。びっくりしました。

-演奏が終わったときにこれはひょっとしてとか思いましたか?

自分の演奏はできたとは思っていたのですが、ほかの方ももちろんレベルが高くて、コンクールとかオーディションって、ご縁といいますか、うまく弾けてもダメな時もありますから結果をドキドキしながら待っていました。

-審査委員長の横山幸雄先生の講評はとても丁寧だと伺っていますが、そのときの先生の言葉で覚えていることはありますか?

そのときフランスの作曲家でオリビエ・メシアンという近現代のあまり弾く人がいない曲を弾きました。もともとフランスものが好きでよく弾いていて、なんとなく感覚的に弾いていていたのですが、講評の時に感覚的にはすごくいいから、それを裏付ける何か説得力があるものがつくとさらによくなるというアドバイスをいただいて、すごくはっとして、なるほどと思いました。

-説得力のある裏付けとは、どのように解釈されたのですか?

感覚的なこと以外に、曲の作り、構成とかをもう少し意識して、こうなってるからこう弾きたいとか、そういうことを考えるようになりました。

-理詰めのアプローチも必要なのですね。

感覚だけあっても、理論的だけでもいけないので、両方のバランスというか。私は感覚的には弾きやすいのですが、理論的にという部分でもう少しというところがありました。フランスものだけではなく、どの曲についてもいえることなので、とても勉強になりました。

-そもそものことになりますが、ピアノを始めたのはおいくつのときですか?

ピアノを始めたのは6歳で、3歳から音楽教室に通って、音遊びというか、リトミックという音に合わせて動いたりすることやエレクトーンもやっていました。家にピアノがあったので、エレクトーンの宿題もピアノでやっていました。

-ご自宅にピアノがあったというのも、ピアノをやりたいと思うきっかけになりましたか?

弾くという環境が調っていたので自然と弾き始めていました。

-音楽教室は楽しかったですか?

すごく楽しかったのですが、宿題が多くて、大変なこともありました。先生は厳しい方で、それが今考えると、本当にためになっていたし、そのときやってなかったらできなかったこともあったと思います。ソルフェージュも、大学の中ではすごく得意な方でしたが、それは音楽教室に通っていたおかげなのかなと思います。

-そのころの勉強が大人になっても生きているわけですね。

はい。やっと実感できるようになったというか。ソルフェージュは単純にいうと、ピアノで弾いたものを書き取るみたいなことですが、これが何の音というのを聞かれたらすぐに分かります。書かなくても、最近はやっている「耳コピ」とかで、弾いてこれかなという感じです。メロディを聴こうとしなくてもドレミで聞こえてくるのは、絶対音感があるからなのかなと思います。

-YouTubeチャンネルの「さなピアノ」を拝見しましたが、それに耳コピの動画がありましたよね?

はい。何回かやってみています。

-ピアニストとして順調に伸びてきたように思いますが、途中で迷いとか、悩みを感じた時期はありましたか?

あります。まず高校に入ったときです。中学は公立に通っていたので、学校の中で一番弾けるというのが当たり前でした。ピアノを習って、練習もたくさんしているので。伴奏も普通に弾けるし、みんなからすごいとか、ピアノが上手とか思われていましたが、高校に入ったらもう、そんな人ばかりでした。ああすごいって圧倒されてしまいました。みんな弾ける、上手、みたいな環境で。ピアノをやめたいとは思いませんでしたが、そんな時期もありました。

-高校に入る前から毎日ピアノに向かう日々という感じですか?

ピアノには毎日向かいます。小さいころは自分で練習することが苦手というか、あまり好きではありませんでした。本番とか、コンサート、発表会などはすごく大好きで、練習より本番が好きという子どもでした。でも高校に入ってからは周りの子の上手さもあるので、自分から練習したいし、今はもう練習しないと気が済まないです。高校に入って変わりました。

-どれぐらい練習はするものなのですか

今は何もない日はずっと朝から晩まで弾いていますが、長くやればいいということでもなくて、体も疲労していくので、効率よく考えながら練習しています。

-それ以降にも節目と感じるようなことはありましたか?

ちょうど大学に入る直前の高校3年生の2、3月に新型コロナがはやり始めて、演奏を外でするという機会が全然なくなりました。そのころは本当に学校も週1回行けるか行けないか、ピアノのレッスンですら、LINEのビデオ通話でやる、みたいな感じでした。本当に家にこもってという状況がけっこう続きました。外で演奏会ができるようになったのは緑区の新人演奏会からです。学外で弾く初めてのコンサートで、そこから演奏活動が徐々にできるようになりました。

-どんな気持ちで臨みましたか?

私はその時学生で、学外での演奏会は慣れていなかったので本当に緊張していました。弾くこともですが、話すことが大変でした。学内の演奏会ではMCはないので、お客様の前で話すということが初めてで、何度もつっかえてしまいました。でもお客様が温かく聴いてくださったので、演奏するころには緊張もほぐれて弾けたかなと思います。

-そのときが当館で初めての演奏ですが印象はいかがでしたか?

1人1人の顔がちょうど見えるくらいの、あ、あそこに知り合いがいるなと分かるくらいの距離感でした。ピアノの大きさもちょうどいいです。

-ところで、海外で演奏することについて興味はありますか?

海外はまだ行ったことがないです。作曲家が生きた街とか空気とかを味わってみたいなあと思うのですが、なかなか機会がありません。フランスの作品が大好きなので、フランスに行ってみたいです。

-先ほども話が出ましたが、YouTube動画の「さなピアノ」は始めてどれくらいになりましたか?

昨年の6月から始めました。たくさんの方に私の演奏や音楽を届けたいという思いで始めました。ピアノを少しでも身近に感じていただけたらとSNS、インスタグラムとかでも配信していますが、演奏動画を配信して、1人でも多くの方に聴いていただきたい、見ていただきたいという思いでやっています。本当にコアなクラシックの曲から、ポップスやリクエストをいただいた曲も投稿しています。

-あの動画は練習時間の中に撮影するのでしょうか?

撮ろうと思って撮ることもあるし、たまたま撮った動画がこれ載せたいかもと思うときもあります。家で撮ることの方が多いので、かしこまってというよりは、日々の練習風景だったり、練習始めにやる基礎練習をラフな感じで撮って上げてみようとやっています。思わぬ動画がたくさん見てもらえたり、これ伸びたらいいなと思ったらあれ?みたいなときもたくさんあるので、本当に難しいです。ちょっとずつですがチャンネル登録してくださる方も増えてきて、もう少し頑張らなきゃ、というところです。

みどりアートパークのYouTubeチャンネルで公開される4曲はどのように選びましたか?

クラシックには、バロック、クラシック、ロマン派、近現代という四つの時代の分け方があり、その中から1曲ずつ選曲して、このホールとかピアノが持つ魅力をいろんな角度から感じてもらえたらいいなと思い選びました。

-最後に、みどりピアノ・アンバサダーへの意気込みをお願いします。

地域の皆さまに音楽の楽しさや、魅力を届けていきたいなと思いますし、クラシックはどうしても、ちょっと遠い存在というか、入りにくい世界だと思うので、そういう方にもクラシックの魅力を分かりやすく解説もしながら届けていきたいと思っています。時にはクラシックだけではなくて、ポップスなど、より親しみやすい作品も交えながら、地域の皆さまと交流していけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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